余市町でおこったこんな話 その11「冷凍すり身の発明」

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スケトウダラ(以下スケソ)は北海道のほぼ全域で捕獲される「重要漁獲対象種」(『漁業生物図鑑 新 北のさかなたち』)で、卵巣がタラコや辛子明太に加工される身近な魚です。今から50年以上前には小さな虫が寄生しているものがあったことから「シラミたかり」と呼ばれ、ニシン漁が盛んな頃は網にかかると捨てられていました。
また鮮度低下が早く、蒲鉾などの練製品の原料に向いていないというのが定説で、多くの漁獲があっても遠隔地間の大量輸送もままならず、塩蔵、ヒラキ干しなどに加工されていました。
昭和30年代の中頃、北海道立水産試験場本場(現在の(地独)北海道立総合研究機構 中央水産試験場、以下中央水試)の研究チームの発見と努力により、冷凍すり身製造の技術が確立しました。鮮度低下の問題が解決され、大量処理が可能になったことで、スケソは練製品の原料として一躍脚光を浴びることとなりました。
『北水試百周年記念誌』によれば、冷凍すり身製造に関わった研究チームは中央水試の西谷喬助氏をリーダーに、武田二美雄氏、田元馨氏、田中修氏、古田元宏氏らによって構成されました。
昭和33(1958)年頃、スケソを用いた良質の蒲鉾が新潟県で製造されており、製造試験は先進地の教えを受けて開始されました。
スケソが練製品に向いていないと言われていたのは、冷凍された魚肉タンパク質を解凍すると変質してしまうためで、彼らはこの定説を「水さらし」法の発見により乗り越えました。魚肉ソーセージ製造実験の過程で偶然にヒントを得たことがきっかけでした。
こうして冷凍すり身の試作品製造が始まり、35年には製品が初出荷されました。38年には特許を取得、同年設置の社団法人北海道冷凍魚肉協会にその権利が移されました。
数年後には製造量10万tを超える大型商品となりましたが、製法が確立した後も「スケソのすり身は不味い」という偏見を取り除くために、彼らが関西方面の蒲鉾会社を1軒ずつまわって努力を続けた賜物でした。
冷凍すり身の技術は単にスケソの利用拡大にとどまらず、他魚種にも利用できる技術として漁業者や食品加工業の発展に大きく寄与したので「インスタントラーメンに並ぶ大発明」ともいわれました。海外にもこの技術は普及し、“SURIMI”は世界の共通語となっています。

写真:かまぼこの製造風景((地独)北海道立総合研究機構)

写真:かまぼこの製造風景((地独)北海道立総合研究機構)

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