余市町でおこったこんな話 その43「冬~昭和28年~」

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「最近は根雪になるのがぐっと遅くなったね。11月3日には必ず雪が降った。風も大風が吹かなくなった。」
「役場前の切通しの電柱が将棋倒しに倒れたのは大正4、5年頃だったね。私の家は海岸から200間(360メートル)も離れていたのに土台まで波が来た。」
「雪はふつう1丈5、 6尺(4.5メートル)もあった。」
「昭和2年の大雪だ。2月の末だったかな。凄かった。朝から降り続いたので(勤務先から)早く帰ることにした。正午に会社を出て大川町の家についたら街燈がついていて、4時間かかったことがわかった。途中でスキーを借りたのだったが、それでも胸まで埋まる。」
「ストーブも最初は石炭ストーブが始まりで銀行の支店長あたりが使っていた。大正4、5年くらいに駅前ではじめて石炭が売られたのが余市の石炭売りの始まりだった。薪はたくさんあるんだけど薪ストーブはなかった。」
「多くの家はいろりを使った。3尺に6尺(約90センチメートル×180センチメートル)の炉でひとかかえもある木をくべてその周りに小さい薪や柴を添えて燃やした。夜になるとその大きな木に灰をかけて、翌朝に柴をくべる。冬が過ぎて春になると皆くん製みたいなにおいをたてて外へでる。」
「昔は自分らで濁酒を作った。炉辺に友人があつまってそれを飲みながら、内地(本州)の話をするのは楽しかった。」
「冬になると山子(木材伐採の作業夫)が大川と黒川あわせて千人も山に入っていて、正月になるとどっと町へ降りてきてにぎやかになった。2月11日は山の神様の日(初山、山入りと呼ばれる山の仕事始めの行事)で正月以上の賑わいになった。」
昭和28(1953)年末の月刊郷土誌『よいち』の中で、町内のお年寄り3名が集まって昔の冬について語った座談会のひとコマでした(一部、補正加筆)。
55年前のこの年はフゴッペ洞窟が国の史跡になり、旭中学校の新築工事が始まった年でした。
また、前年の昭和27年には田川橋(余市川)や大浜中橋(切り替えられた現在の登川)が出来上がり、上水道工事や古平町と結ぶ海岸線の国道工事が行われていました。余市町と大江村と赤井川村との町村合併の協議が続けられていましたが、結果は余市町賛成、大江村反対、赤井川村は大江村に同意見となって合併は見送られました。
その頃の暖冬を感じたお年寄りたちが55年後の余市のお正月を見ることができたら、どんな感想を持つのでしょうか。

写真:月間郷土誌『よいち』(昭和28年1月号表紙)

写真:月間郷土誌『よいち』(昭和28年1月号表紙)

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