余市町でおこったこんな話 その59「タイホー、カシワド 余市入り」

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大鵬、柏戸、栃の海の三横綱をはじめ、五百人を超える大相撲の一行が余市にやってきました。昭和39(1964)年8月10日の暑い夏の日のことでした。
この巡業は北海タイムス社主催の「日本大相撲余市準本場所」で、北後志では8年ぶりの相撲とあってたいへんな賑わいを見せたそうです。当時の新聞記事を見ると、まず8月5日に佐渡ケ嶽(元琴ケ浜)、中川(元清恵波)、佐ノ山(元国登)の三親方が土俵準備のために余市入りしています。
三親方は北海道の感想を記者に語りました。
「東京の八月はとても暑いですが北海道の朝夕がとても涼しいのには驚いています。~(大鵬ら)三横綱をはじめ北葉山、北ノ富士の本道出身力士、ただひとりの後志出身幕下の北の花(留寿都)ら五百三十人の全力士がきますので、ファンにも本場所さながらの相撲ムードを味わってもらうようつとめたいと思っていますよ。」
8月7日には宿泊する力士と町内10か所の受け入れ旅館の名前が報道されました。町内に宿泊する力士は270名、残る力士は当日朝8時半着の臨時列車で札幌から直接会場入りすることとなりました。土俵の準備は7日にほぼ終わり、会場となった「入舟町総合グラウンド」の国道からの入口には「大相撲余市準本場所」の大横断幕が張られ、後志信金(現在の北海信金)本店のロビーでは「大相撲写真展」が開かれました。前々日の8日午前9時からは「特設土俵祭り」が、前日9日の午後には古式にのっとった「ふれ太鼓」が町内をねり歩き、本番ムードを盛り上げました。
当日の開場予定は午前6時、観客は5、6千人が予想され、赤井川村からは貸切バスが、古平・積丹方面からは臨時バスが運行される計画で、入舟十字街から会場までは駐車禁止区間が設けられました。会場内には軽食、冷菓、飲み物など4軒の特設売店が並びました。取組開始は午前9時、地元企業などからの懸賞による五人抜き三本や相撲甚句、しょっきりも行われました。
翌日の新聞には「大鵬に群がるファン」、「好一番、わきにわく」の見出しが躍りました。記事によると、前日夜の力士の到着を見ようと駅前に2千5百人ものファンがつめかけ、当日朝6時の開場前の午前3時にぞくぞくと観客が集まったため30分前倒しで開場となり、予想よりも多い7千人の入場者となりました。
取組の様子も記事は伝えています。
「若見山-若秩父のアンコ型の取組には拍手カッサイ。ガップリ四つから若見山が出足よく寄り切り、北の富士-沢光の道産子同士の対戦は北の富士が一発二発とついて、もろ差しを果たし寄り切った。北葉山は佐田の山を一方的に寄り切り大鵬も力の入った相撲で豊山を破った。結びの栃ノ海-柏戸は柏戸がつり出して勝ち。」
この日は数日来の暑さで、アイスクリームやジュースが飛ぶように売れ、昼食場所の支度部屋のまわりにも力士を見ようとするファンがいっぱいでした。
すべての取組があって弓取式が終わったのは午後2時半頃、巡業の一行は次の目的地函館に向けて発ちました。

写真:新聞記事「横綱が土俵入り」(昭和38年8月12日)

写真:新聞記事「横綱が土俵入り」(昭和38年8月12日)

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